システムエンジニアがわかりやすく「FinTechとは何か」を説明してみる
最近やたらとIT業界と金融業界で盛り上がっているワード「FinTech - フィンテック」。
私の会社でも偉い人が口を揃えて「これからはフィンテックの時代だ!」とか言ってます。こういう人たちが本当にフィンテックを理解しているかは別として、確かにフィンテックというのは盛り上がってます。
日本のフィンテックで生まれた一番有名なサービスは「Money Forward」でしょう。その他にも面白そうな金融サービスが続々と生まれています。
しかし「フィンテックって結局なんなの?」と言う人は多いはず。
そこで現役システムエンジニア(金融系)である管理人が世界で一番わかりやすい、いまさら聞けないフィンテックについて解説したいと思います。
FinTechとは何なのか?
まずはフィンテックをwikipediaで調べてみると、以下のような説明が出てきます。
フィンテック、Fintech(financial technology)とは、情報技術(IT)使して金融サービス生み出したり、見直したりする動きのことである。従来から金融業界では情報通信技術を活用されていた中、2010年代以降、フィンテックとして注目が高まる理由は、インターネット関連技術等により従来の大手金融機関が独占していた業務を個人や新興金融企業が可能になったことにより業界秩序並びに社会構造が変化する兆候が語られるからである。
(出展:wikipedia)
なんだかわかったようなわからないような感じですね。
フィンテックというのは元々、「finance」(金融)と「technology」(技術)を掛け合わせた造語です。つまり簡単にいうと「金融×IT」で新しいサービスを生み出そうという動きを指しています。
と思う人は多いと思います。私もそうでした(笑)昔から金融機関というのはITと共に発展してきたこともあり、IT投資に積極的な業界の一つです。そのため多くの金融サービスはIT技術の進歩とともに生まれてきたのです。
そのため「いまさら金融×ITって?」と思う業界関係者は多いです。しかしそれが「フィンテック」として盛り上がって来てるのは、今まで金融ITサービスを独占してきた大手金融機関だけではなく、様々なプレイヤーがこの領域に乗り出してきたということなんです。
いままでの金融サービスというのは、保有している「お金」をどうするのか?ということに主眼が置かれていました。そのため「お金」がたくさん集まって来て「お金」をたくさん持っている金融機関を中心に展開されてきました。
しかしIT技術の進歩によって「持っているお金をどうする」というだけではなく、「どうやってお金を流通・管理させるか」というプラットフォームの提供が可能になってきたのです。これは別に「お金」を持っていなくても展開できるサービスなので、金融機関以外のプレイヤーが続々と参入しているわけなんです。
いままでの金融サービスは、大手金融機関が主体だったこともあって、自身の金融機関に関連するところまでしかサービスの範囲は及んでいませんでした。つまりは”狭い世界”だったわけです。どうしても自身の金融機関の商品やサービスを勧める方向にしかいかないですからね。
それがプレイヤーが変わると世界は途端に広くなります。金融機関という壁を取り払うことが可能になるのです。
例えば「Money Forward」です。
最近CM等でも宣伝しているので利用している人も多いかもしれません。
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Money Forwardはいわゆる家計簿アプリの一種で、色々な金融サービスをつないで、自身のお金の流れをすべて一元管理することができます。それこそ銀行口座やクレジットカード、電子マネーといったお金から、証券やFX口座、ネットショッピングから公共料金までお金に関することならなんでも管理できてしまう優れものです。
これは金融機関ではできなかったサービスですね。金融機関ではないプレイヤーだからこそ”すべてをつなぐ”という発想ができたのです。自分の持っている財産が一目ですべて把握できたら・・・これを可能にしたのがフィンテックなのです。もちろんフィンテックによって何かが可能になったというわけではないですが、フィンテックという大きな動きの中でこそ誕生できたといえます。
あと最近で言えば「TORANOTEC」(トラノテック)という会社が提供している「おつりで投資」などもいい例ですね。こんなサービス、既存の証券会社では絶対に思いつかないでしょう。
こういったサービスは結局、”すべてがつながる”ことが重要です。どこぞのIT企業がこういうサービスを始めたいと思っても、なかなか協力(提携)してくれる金融機関は少なかったでしょう。しかしフィンテックという大きな動きがそれを可能にしているのです。
流行というのは非常に重要で、頭の堅い大手金融機関の偉い人も、流行には敏感にならざると得ません。流行に乗り遅れる=ビジネスチャンスの喪失ですからね。
以上からフィンテックをまとめるとこういうことがいえます。
- 金融×ITサービスの新しい動き
- 金融機関以外のプレイヤーの参画によって金融機関の壁がなくなってきている
- 流行という大きな動きによってみんなが積極的
FinTechから生まれたサービス
ここからは具体的に日本のフィンテックサービスといえばどんなものがあるのか解説していきます。
これまでに色々な人がフィンテックのサービスについて分類してくれていますが、一番わかりやすくまとめていたのが以下の図です。
(参考:http://hajipion.com/2153.html)
先ほど例に挙げた「Money Forward」はユーザー体験として「お金を管理する」というカテゴリーに分類されます。
この図を見ているとワクワクしてきますよね。「お金」にまつわる体験というのはそれだけ私たちにとって身近な存在なのです。こういったサービスが可能にさせる「お金」にまつわる体験は私たちの生活をより豊かに、そして便利にしてくれること間違いなしです。
個人的には特に「お金を送る」体験はもっと身近になってほしいものです。
”現金”はそのうちなくなるんじゃないかというくらいまで発展してほしいですね。
”お金を送る”ということがもっと身近になれば、よりお金が流通するということに繋がりますから経済の活性化にもなるはずです。ただ今一番の問題は、お金を流通させるサービスはフィンテックによって今後もっと発展していくことが予想されますが、肝心のお金を持っているのがITに疎い高齢者なんですよね。
今後のフィンテックはもっとITに疎い高齢者も巻き込んだ形で展開していくのがカギですね。
いずれにせよフィンテックは、どの企業も無視できないほどの大きな動きとなっています。これは私たち利用者にとってはメリットしかありませんよ。
金融系のシステムエンジニアの端くれとしては、新しいサービスの誕生に関わりたいものです。