米Amazonが輸送用ドローンの飛行空域について提言を行いました。その内容は受け入れられるのでしょうか。
日本では首相官邸に放射性物質を含んだ土を載せて着陸した事件で一躍有名になったドローンですが、アメリカではその商用利用が現実味をおびています。米Amazonが商品の配送にドローンを活用しようとしていることはすでにご存じかと思いますが、ドローンの数が増えてきて、一定の管理ルールの必要性が叫ばれています。無秩序にドローンが飛んでいたら危険極まりないですからね。
そんな背景もあり商用利用を検討している第一人者のAmazonがいち早く飛行空域のルールを提言しました。
Amazonの提言
7月28日に米航空宇宙局(NASA)がサランシスコで開催した無人飛行機(UAS:Unmanned Aircraft System)に関するカンファレンスで、アマゾンのドローン配送システム担当幹部が以下の内容を発表しました。
①高度200フィート(約61メートル)から400フィート(約122メートル)
⇒60ノット(時速111キロメートル)以上の速度で飛ぶ輸送ドローンの専用空域とする。
②高度400フィートから500フィート(152メートル)
⇒500フィート以上を飛ぶ一般航空機との衝突を回避するための緩衝空域として、飛行禁止にする。
③高度200フィート以下
⇒調査や撮影、趣味などを目的として低速で飛ぶドローンの空域にする。
ドローンの飛行空域を高度で分割し、制限しようというものです。まあ通常の旅客機にも高度の飛行空域は決まっていますから、自然の流れと言えます。今回はそれを商用利用の第一人者であるAmazonが発表したことで話題を集めています。これによりドローン利用のルール整備は加速するのではないでしょうか。
ドローンの安全化対策も焦点
ドローンは無人機なので、衝突回避等の安全対策は必要不可欠です。
Amazonの提言では、上記ルールのなかの輸送ドローンの定義として、自律飛行型で安全対策の施されたものに限定するべきともいっています。安全対策とは具体的にGPSを利用した高度な位置情報システムや、他のドローンや鳥などとの衝突回避システムなどを指しています。
ドローンがかなり高速で飛行するとして、衝突回避はなかなか難しい技術ですね。私も学生時代自律移動ロボットの研究に関わったことがありますが、センサーでの障害物認識の精度が高くなくてはならないし、なにが起きても効率よく障害物を回避する衝突回避アルゴリズムの検討はなかなか大変な経験でした。(その分、これから必要になる技術なのでやりがいはありましたが)
ドローンの安全対策についてはNASAもドローン自動交通管理システムを研究しているといいますし、私たちが未来の都市を想像するときによくある、色々な浮遊物が飛び回っているような風景の実現も近いのではないでしょうか。
しかしAmazonも配送にドローンを活用しようとは大胆なことを考えるものですね。Amazonのビジネスモデルは配送の仕組みと切っても切り離せないので、ドローンによる配送が実現したらすごい成果だと思います。物の物理的な輸送方法はどこまで進化を遂げるのか楽しみです。